治療中、治療後にも使える化粧品の開発をしています

活性保持型アスコルビン酸(ASVC35%)による尋常性痤瘡や炎症後色素沈着などへの治療効果

おおた皮ふ科形成外科クリニック
太田正佳
京都大学形成外科
都甲武史

はじめに

  • ・高濃度ビタミンCも溶媒や基剤の種類により、経皮吸収する。
  • (Dermatol Surg 2001;27:137-142)
  • ・高濃度ビタミンCの外用療法(ASVC)による尋常性痤瘡に対する治療効果は、既に皮膚科学会総会、形成外科学会総会で報告した。
  • ・今回は尋常性痤瘡と尋常性痤瘡以外の肝斑やレーザー後の色素沈着などの色素性病変と毛孔性角化症にも用い、効果を得た症例を供覧する。

ビタミンC(VC)の効果

・活性酸素の除去、抗酸化作用
・セラミド合成を促進して表皮バリア形成、角質の安定、異常角化の防止
・男性ホルモンの抑制 
・抗炎症作用
・メラニン淡色化
・創傷治癒促進作用
......など

ビタミンCは神経細胞の軸索突起伸長作用や
神経細胞保護作用もある。

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【治療製剤】

ビタミンCを特殊な方法で微細結晶化し、グリセリンに懸濁し、ビタミンCを35%で安定化させた。保存剤は入っていない。

【使用方法】

一日2回、洗顔後、水分を充分ふきとり、本外用剤を顔面にパール粒大量を外用し、3分待つ。その後、外用剤を洗い流す。
・今回の尋常性痤瘡治療中は、その後の化粧水などの保湿成分なども外用することを控えてもらった。肝斑、炎症後色素沈着の治療は他の美白製剤の使用はしていない。

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尋常性痤瘡の治療

・対象 平成18年10月から平成20年4月までに顔面の尋常性痤瘡の治療を主訴として、当院を受診した方。さらに、すでに他施設で保険内診療及び保険外診療を2ヶ月以上受け、治療効果を自覚できなかった方や、これまでになされた治療以外の治療を望んだ方。
・本外用剤の外用以外の治療を禁止した上で、最低1ヶ月は本外用剤の外用を継続してもらう同意を得て、写真撮影及びロボスキンアナライザーでの撮影を診察時に行うことに了承を得た方。
・男性6人 女性20人

治療評価

1.患者の尋常性痤瘡治療の改善度(満足度)の自覚的アンケート(10段階評価でどの程度の満足か)

2.ロボスキンアナライザーの写真を治療前、治療後に分けて、医師3人で各々別に8段階評価した。
・治療前後評価ポイントの差の平均で改善度を見る。(治療に携わった医師は除く)
・平均値が3以上を著明改善、2以上3未満を改善、1以上2未満をやや改善、0以上1未満を不変、マイナスのものを悪化とした。また、治療部分は改善しているが、別の部分にできて全体の印象は変わらないものを不変と区別し水平とした。

3.ロボスキンアナライザーの赤味評価の改善度を尋常性痤瘡の炎症性の変化と捉えて改善度の参考値とする。

結果

1.患者の治療満足度アンケート

自分の尋常性痤瘡治療の目標の結果が10、治療開始時が1としたとき、どの程度改善したと思えるか。

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10-1 人  9-1人 8-5人 7-9人 6-5 人 5-2人  3-1 人  2-1人  1-1人

2.医師による評価

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症 例 供 覧

著明改善症例

治療による改善ポイントが3以上

・23歳 女性
・20歳過ぎから皮膚科受診。保険内の外用治療をうける。
  他院でI2PL治療で変化なかった。
・自覚評価 8

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治療による改善ポイントが1以上2未満

・28歳女性
・2年前から近医皮膚科で内服外用治療してきたがよくならない。
  その後、ケミカルピーリングで悪化した。
・自覚満足度評価 7

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炎症を伴った膿庖部分の治療経過

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尋常性痤瘡 長期使用症例

患者の満足度も高かった。長期外用に伴うトラブルはなかった。

・16歳
・男性
・9ヶ月目
・自己評価10
・13歳ごろから尋常性痤瘡出現、外用治療でも変化があまりないため受診。

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・18歳
・男性
・使用 6ヶ月
・自己評価 9

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尋常性痤瘡後瘢痕や色素沈着

瘢痕が劇的に変わるわけではないが、比較的目立たなくなる。

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肝斑

内服治療、ASVC以外の外用治療はしない。

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レーザー後色素沈着

レーザーの後色素沈着をきたした症例に内服、外用治療はしない。

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毛孔性角化症

ASVCを使用して2ヶ月目
丘疹はやや平坦化し(ザラザラした感触は軽減)
毛孔に一致した淡紅色はややおさまっている。

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結 論

・活性保持型アスコルビン酸(ASVC)外用単独治療でも一定の尋常性痤瘡に対する治療効果が認められる。
・尋常性痤瘡後の瘢痕や色素沈着に効果を認める。
・ASVCはレーザー後色素沈着、肝斑に有効な症例がある。
・毛孔性角化症に関してはさらに症例をふやしたい。
・この新規の外用材料はビタミンCとグリセリン、ジグリセリンのみで、混合原料が少ないものとして安全性も高いと予想され、長期的使用も可能であろう。

協力 よねむらクリニック 米村信義
    旧ひがしクリニック 東久志夫